おとうと
私には四つ下の弟がいる。
子供の頃は喧嘩が絶えず、というか主に私がコロコロコミック増刊号などで
頭を殴って弟のビックリマンシールを強奪したり、ゲームボーイを意地でも貸さなかったりと、酷いことしかしてこなかったので一万回ぐらいは死ねと言われた仲だったのだが、
大人になってしまうとなにかと話をしたり、私が困っていると助けてくれたりと随分親切になっていた。
多分コロコロコミック増刊号で殴り過ぎた
せいだろう、過去の記憶が消えている可能性がある。悪いことをしたと思うが思い出されると都合の悪い事しかない身としては
このままでいてもらう方がが良い。
お互いにいい大人になったが、二人で食事にいったりしたことはない。
身近な存在過ぎて考えたこともあまりなかった気がする。
しかし、両親も老いて今後のこともある。介護や僅かな財産分与、税金、お笑い第七世代ってなになど、弟の意見を聞かなくてはいけないことは多い。
先ほど述べたように協力的で話の分かる人間なので、ここはひとつ焼肉でも食べながらそのうち話そうかと思う。
深刻な話ばかりではない、くだらない話もして息抜きをするのもいいだろう。
しかし昔話は駄目だ。
忌まわしい記憶がよみがえってしまうかもしれない(誰のせいだ)
念のためにカバンの底にコロコロコミック増刊号をしのばせたほうがいいのだろうか。